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2011.12.19

【岐阜県】第1回報道記者との懇談会を開催

第1回報道記者との懇談会を県歯・連盟合同で、8月17日午前11時~午後1時まで、県歯会館3階第6、7会議室で、伊塚良一理事長、木方多加志、中村雅彦両常任理事が出席して開催した。地元報道関係者らを含む7人の報道記者が出席した。

はじめに髙木幹正会長が、多忙の中出席した記者に謝意を述べた後、次のようにあいさつした。
わが国は本格的な少子高齢社会に入った。医療制度改革において、地域医療は地域完結型・チーム医療をキーワードに、かかりつけ機能を中心にすえ、多職種と の連携により機能分担することによって、安全・安心・質の高い歯科医療を提供することが求められている。さらには国民・県民・地域住民のニーズに沿った歯 科医療の提供が必要で、そのためには地域の特性を踏まえた体制作りをする必要があり、歯科診療所の機能自体に変化が求められることになるだろう。
1)東日本大震災では身元不明遺体確認作業、緊急歯科治療、口腔ケア等の対応に追われた。政治が混迷している中で、一次補正予算で仮設診療所の設置と巡回 診療車の配備に対する予算化は評価している。二次補正予算では、一次補正予算対象外の壊れた診療所の修繕、失われた機材の再整備に掛かる補助や、復旧・復 興に掛かる診療所設備投資におけるダブルローン返済条件の見直しなど、また原発事故の影響で、診療所があるにもかかわらず診療が再開できない歯科医に対す る助成、そのほか東日本大震災復興構想にある「地域包括ケアを中心とする保健・医療、介護・福祉の体制整備」における歯科の明確な位置付け、さらには今回 の震災では、津波により診療所自体がなくなったことからカルテが流失し、身元不明遺体確認作業に手間取った経緯から、カルテのデータベース化の助成も要望 している。私も4月初めに被災地を視察し、被災会員の要望を聞いたが、最終的には被災者のニーズに合った救援をスピーディーにすることが大切だと思った。
2)長年の懸案であった「歯科口腔保健の推進に関する法律(歯科口腔保健法)」が成立した。ライフステージごとの歯科に関する法律は今までにもあったが、 乳幼児期から高齢期までの一貫した法律はなかった。今回の法律で法的なバックボーンができたので、歯科保健、医療、介護・福祉を推進できることとなった。 財源は努力義務となっており理念法と言えるが、限りなく実効法にするために厚労省内に同法律を推進する部署を立ち上げてもらうよう要請している。現在19 道県、7市町で歯科保健に関する条例が立ち上がっているが、この法律が成立したことで、全国での条例立ち上げに拍車がかかるだろう。それによりわれわれの 政策が具現化されることを期待している。従来の8020運動推進だけでなく、地域歯科保健事業の幅も広がり、活性化につながると思う。後ほど、担当者から 説明を行うが、11月19日には全国歯科保健大会を本県主管で開催する。
3)歯科の位置付けが明記された「スポーツ基本法」が成立した。スポーツ歯科医学に対する国民の認識が薄かったため、一般的にスポーツドクターは知られて いたが、スポーツデンティスト(仮称)に相当するポストは知られていなかった。平成24年ぎふ清流国体をモデル事業とし、翌年東京で開催される国体ではス ポーツデンティスト(仮称)の普及啓発につなげたい。

次に報告事項に移った。
1.東日本大震災の被災地での身元不明遺体確認作業
木方多加志・岐阜県警察歯科医会常務理事(連盟常任理事)が写真を基に説明した。宮城県での災害現場の惨状を報告するとともに身元確認現場の現状について 解説した。また身元確認活動における歯科医師の身分や立場が法に定められていない点についてマスコミ関係者にも理解を求めた。
2.ぎふ清流国体・ぎふ清流大会、それに伴うプレ国体に向けたデンタルサポート事業
《趣旨》 スポーツを通した健康づくりを歯・口腔の領域から支援するために、スポーツ歯科医学の分野からスポーツで起因する外傷や障害への対策を通じてスポーツの発展に寄与する。 すべての競技選手と関係者を対象としたデンタルサポート事業として、事前調査、現場サポート対応、事後分析を行う。
《事業期間・事業内容》
▽第1期/平成23年2月~平成23年3月
1)事業内容の詳細立案 ②調査(アンケート等)
▽第2期/平成23年4月~平成24年3月
1)リハーサル大会視察と広報活動
2)スポーツ歯科講演会(指導者と選手対象)
3)調査(大会前アンケートなど)
4)歯科健診などのデンタルチェック
5)救護活動、GSHPサポート(マウスガード作製など)
▽第3期/平成24年4月~平成25年3月
1)スポーツ歯科講演会(指導者と選手対象)
2)調査(大会後アンケートなど)
3)救護活動、GSHPサポート(マウスガード作製など)
4)結果検証、総括、学会発表、論文作成国体大会期間中、歯科救護医としての現場対応、スポーツ歯科のブース設置での広報活動を行う。
3.岐阜県スポーツ・健康づくり歯学協議会のFC岐阜への取り組み
同じく酒向事業委員が次のように説明し、取材を要請した。
▽日時/9月1日午後2時~午後5時
▽場所/県歯会館「オーディトリアム」と「障害者歯科診療所」 ▽講演/アスリートにおける歯の重要性(仮題)=飯沼光生・GSHP協議会事業委員会委員(朝日大学歯学部小児歯科学准教授)
▽事業/口腔健診、マウスガード型採り
4.第32回全国歯科保健大会に向けて
阿部義和副会長がポスターを基に説明。 《趣旨》 全国から歯科保健関係者が集い、ライフステージでの歯科保健活動のあるべき姿の研究討議と、生涯にわたり「自分の健康は自分で守る」意識の国民への啓発、 さらに東北地方太平洋沖地震による東日本大震災の復旧・復興に向けて歯科保健から「健口」をテーマに生活を支える歯科医療として災害に立ち向か う人々の一助になるべき発想・発信をしていくことを目的とする。 また歯科保健事業の推進と歯科保健衛生の普及向上に、多大な功績をした個人と団体を表彰するとともに、わが国の歯科保健事業の一層の推進を図る。
▽テーマ/立ち上がれ!健口日本! ~健康は歯から口から笑顔から~ 《主催》厚労省、岐阜県、岐阜市、日歯、県歯
▽日時/11月19日(土)午後0時30分~午後4時30分(午前10時30分受付開始)
▽場所/長良川国際会議場
▽プログラム/
1)諸表彰厚生労働大臣表彰、日本歯科医師会長表彰、
2)母と子のよい歯のコンクール表彰
3)アトラクション「岐阜県紹介」
4)基調講演/「食」と「命」はつながっている=鎌田實医師(作家)
5)シンポジウム/ テーマ/生きる力を支える歯科医療(仮) シンポジスト/小林博・岐阜県医師会会長、鎌田實医師(作家)、大久保満男・日歯会長 コーディネーター/髙木幹正会長
5.その他
髙木会長が8月2日に制定された「歯科口腔保健の推進に関する法律」の概要を説明した。

次に報道関係者からの質問に入った。
Q.今後、被災地への活動を続ける予定はあるのか。=小出悠貴・岐阜新聞社編集局報道部記者
A.支援金は被災県歯へ送金した。現在は県歯会員から不要になったレントゲン機器など集めて、被災地に送ることを検討している。=阿部副会長
身元確認、口腔治療、口腔ケアは地元会員でカバーできるようになってきた。義援金などの助成が長期になると思われるので、今後どうすべきかを検討してい る。被災会員は地元で地域医療に携わりたいという思いが強いので、現地会員の復興支援を行いたい。=髙木会長
Q.歯科口腔保健法成立による岐阜県民の具体的なメリットは。県内での条例制定の動きがあれば教えてほしい。=水野純治・日本歯科新聞社代表取締役
A.昨年、本県では岐阜県民の歯・口腔の健康づくり条例が制定した。今回の歯科口腔保健法とうま く合えば、市町村条例の制定推進に貢献するだろう。それにより鮮明な歯科保健が進むだろう。現在、大垣市と山県市で条例が制定されている。他には岐阜市、 多治見市でも現在、制定に向けて進めているところだ。 歯科保健センター(支援センター)の設置について言うと、例えば岐阜市では単年度予算で、訪問診療を行う医療連携室(支援センター)を設置した。次年度か らは予算化されていないため県歯事業として持ち出しとなるが、この法律ができたことでバックアップしてもらえれば、包括的口腔ケアとしての支援 がスムーズにできる。=阿部副会長
Q.阪神淡路大地震では歯科が政策医療として評価されてなかったが、今回、仮設診療所の設置などが一次補正予算に組み込まれたのは、国が政策医療として歯科を評価した結果だと思うか。=吉田泰行・歯科時報社、代表取締役
A今回のことは評価できるが、政策医療の中に位置付けされたとは思っていない。=髙木会長
Q.歯科口腔保健法を実効法に持って行くには、予算化の問題で難しいが、日歯連盟会長としてはどう考えているのか。=同
A.先ほども話したが、行政の中に同法案の推進室を設けてもらうこととした。同時にわれわれの組 織内にもプロジェクト的なものを立ち上げ、法律の中身を精査し、活用できる政策を検討、優先順位を考え、予算化を要望していく考えだ。例えば今回の大震災 における口腔ケアの重要性(特に避難所にいる高齢者の誤嚥性肺炎の減少)や身元不明遺体確認作業(デンタルチャートの重要性)等、具体的な実例を当該法律 の中でどのように結びつけていくかも、一つの検討課題だと思う。=髙木会長
今回、日歯から被災地に身元確認作業に派遣された歯科医師は1,095人。現在は地元歯科医師が従事している。 われわれ歯科医師は検視業務の一環として作業に従事したが、法律上の位置付けはない。昭和60年(1985年)に起こった日本航空123便墜落事故(御巣 鷹の尾根)以降、身元確認作業では、歯科所見の照合が有用だと言われ続け、法制化の要望もしてきたがいまだに実現はしていない。=木方岐阜県警察歯科医会 常務理事
なぜ法的に位置付けされていないのかを明らかにすべく検討している。今回の大震災で歯科の役割の重要性を評価し、国民・県民にアピールしてほしい。=髙木会長
Q.先ほどカルテのデータベース化の話があったが、県歯で進めているのか。=森村陽子・中日新聞社岐阜支局記者
A.日歯で話題提議されているが、情報量は莫大でデータベース化するには時間も経費もかかる。ま た個人情報もあり、進めるには国民の理解も必要だ。医療連携の中で治療に関しては遠隔地の情報交換が進んでいるので、それともリンクできるといい。DNA 鑑定も含めたデータベースとすると有事の際に活用できるが、どこに保管するかなど問題は山積している。日常の診療の中で念頭に置いていきたい。=髙木会長

DNA採取事業は、愛知県歯で口腔内粘膜による採取事業を行っている。保存期間や費用などで必ずしも広く活用されているとは言えないようだ。 歯科所見のデータベース化については、来診ごとにデーターの更新が必要なこと、個人情報の取り扱いに厳格な注意が必要なことなど、まだまだ高いハードルを いくつも越えなければ進められない。 個人を特定する方法には歯科所見以外にも指紋やDNAがあるが、どちらもテレビドラマで見られるようにスーパーインポーズ(左右に指紋の写真を置いて重ね 合わせで照合)するわけではない。それができる可能性があるのは唯一歯牙だけだ。たった1本の歯牙のスーパーインポーズで身元確認ができれば画 期的であり、現在研究が進められている。=木方岐阜県警察歯科医会常務理事 横森俊雄副会長が、「歯科界の諸問題の施策を国民に理解してもらうためのパイプ役となって、協力してほしい」とした閉会の言葉を述べて終了した。

同懇談会の模様が、8月18日午前9時からの岐阜放送ニュースで約2分間放送された。

髙木幹正会長

横森俊雄連盟理事

答弁する木方多加志連盟常任理事