令和5年 年頭所感
歯科の明るい未来を見据えて、歯科再興をやり遂げます!
日本歯科医師連盟 会長 高橋 英登
明けましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。
会員の先生方におかれましては、日頃より本連盟をお支え下さり、誠にありがとうございます。新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスによる「ツインデミック」の脅威が叫ばれる中、先生方の献身的な診療が国民の感染拡大を予防し、命を守る歯科医療を実現されておりますことに敬意を表しますとともに感謝を申し上げます。
昨年は、歯科界にとり、多くの政策を実現できた一年となりました。
国の施政の基本方針である「骨太の方針」においては、我々歯科医師の悲願である「国民皆歯科健診制度」の創設が、ついに明文化され、具体的な制度設計への第一歩を踏み出すことができました。政権与党・自民党においては、「国民皆歯科健診制度実現PT」が何度も開催され、制度構築に向けて議論が本格化しています。
本原稿執筆現在(12月10日)、政府・与党においては、予算・税制の議論の真っ只中にありますが、国のすべての政策に歯科医療を結びつけ、いかに先生方の日常診療への活力源とすべきかを考え、行動を起こしてまいります。
また、ウクライナ侵攻による世界的な物価高騰の中、診療環境を取り巻く現状に迅速に対応すべく、材料費高騰に関して政府官邸へのロビー活動を実施することにより、診療報酬の緊急改定を勝ち取ることができました。さらに、診療現場における様々な経費上昇に対し、各自治体による地方創生臨時交付金の活用のみならず、国の予算や診療報酬での補填についても強く要求を重ね、常に現場主義で先生方の地域歯科医療を支えるべく、活動を続けております。
我が国の歯科医療は、世界一低い対価で診療が行われており、さらに総医療費の中でも歯科の占める割合は低下しているのが偽らざる現実であります。また、国による時代錯誤の歯科医師削減策が続き、無歯科医地区の増加や、事業承継がうまくいかないケースも相次ぐなど、歯科医師不足による国民の健康低下が懸念されています。
これら歯科医療の危機を防ぎ、歯科界に明るい未来をもたらすには、どうしたらよいでしょうか。私は、「我が国の医療は国策医療である」とかねてより強調してまいりました。長年連盟会長として活動を続けるうち、まさしく政治が政策を決めており、立法府の理解なくして政策を前に進めることはできないことを痛感いたしました。
すなわち、先生方の地域歯科医療がもたらすエビデンスと、日々の連盟活動による政治力とを総合的に結集してこそ、様々な歯科医療政策を実現することができ、どの一点が欠けてもより良い政策を実現することは叶わないのです。
お陰様をもちまして、日頃の連盟活動の成果として、首相官邸・政権与党・政府霞が関という政策のステークホルダーに対し、歯科医療への理解を深めることはできました。今こそ歯科界再興の絶好の機会であり、歯科界の明るい未来への扉が、すぐそこに迫っています。
新たな未来を切り拓くためには、我々歯科医師はさらに一丸となって、「物言う歯科界」となり、たとえ国の制度であっても、不合理な点は改正を働きかけ主張し、変えていかねばなりません。私は、歯科界の未来を見据え「国民のため、会員のため、なんとしてもやり遂げる!」という強い意思を持ち、先生方と同じ臨床家として、現場目線で常に新たな道筋を立てていきたいと考えております。そのためには、今まで培ってきた経験と人脈を糧に政治と向き合い、会員の先生方と協力し、明るい歯科界の未来を創っていきたいと考えております。
本年も「歯科医師が国民から感謝され尊敬され誇りを持って診療ができるように!」。また、「歯科界に働く者が正当な社会的評価を受けるために!」。そして、先が見通せない厳しい現状の中で、あえぎながら歯科医療を担っている先生方が、「歯科医師になって本当に良かった!!」と思える歯科界を目指して、歯科再興をもたらすべく活動することをお誓いし、私の年頭の決意とさせていただきます。