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連盟の活動報告

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令和6年 年頭所感

日本歯科医師連盟  会長  太田 謙司

新年あけましておめでとうございます。
会員の皆様には、2024年の新春を新たな気持ちでお迎えのこととお慶び申し上げます。また日頃より、日本歯科医師連盟の会務運営にご理解とご協力ならびにご支援を賜り心より感謝申し上げます。

高橋前会長の後を引き継ぎ会長に就任してから半年が経過しましたが、昨年は歯科界にとって前進と言える成果を得た一年となりました。
国の施策の基本方針である「骨太の方針」における歯科に関する文言では、2017年に初めて記載されて以来年々充実され、歯科の重要性に対する国の認識が高まっていると言えます。2023年においては、その前年に入った「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)」については、「具体的な検討」から「取組の推進」と一歩進んだ表現になり、「国民皆歯科健診」は今や国の既定路線になっています。
コロナが5類に移行し社会活動もほぼ平常に戻ってきたなか、今度は世界情勢に由来する物価の高騰と賃上げ圧力が歯科界でも問題になっています。これに対しても、日歯と連携し政府与党に強く働きかけ、地域歯科医師会・連盟のお力を借りながら地方創生臨時交付金等を活用し各地で物価高騰に対する支援金等を実現することができました。ただ、地域によっては未だ交付されていない所もあり、金額にもばらつきが見られることから、引き続き要望してまいります。
また、現在議論が佳境を迎えている診療報酬改定は医療・介護・福祉のトリプル改定となりますが、「いわゆる紙出し」や「実地指導の15分以上」等の、歯科が特に受けている制約の緩和を求めると同時に、「骨太の方針」に「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性を踏まえ、必要な対応を行う」と明記されていることも根拠にしながら、中医協で対応する日歯と協調し国に対して最後まで働きかけを行ってまいります。

さて本年は、歯科界に横たわる中長期的な課題に対しても行動を起こしたいと考えています。一つは、歯科医師の活躍の場の拡充です。中央では厚労省において歯科医師の審議官を育てることを、地方においては全ての都道府県・市町村の行政に歯科医師を配置することを目指します。また、医科では労働安全衛生法により様々な健診ができることになっていますが、歯科にはそれがありません。産業医と産業歯科医は名前が似ていても権限は全く異なります。これらについても是正したいと思っています。
もう一つは、歯科医師数11万人、日歯会員6万4千人、日歯連盟会員5万人の間にある差を埋めることと共に、優秀な若者が目指したいと思える歯科医師像を築いていきたいと考えています。歯科医師法の第一条に、「歯科医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し」と書かれているように、本来歯科医師は公衆衛生にも従事すべきで、そのためには歯科医師会に入会しなければなりません。歯科医師会や歯科医師連盟に入会していないことが恥ずかしいと感じるような時代にしていきたいと思います。
これらの具現化には法律の改正が必要なものもあるなど、高いハードルがあり一朝一夕に成し得るものではありませんが、10年後、20年後に振り返った時、本年がターニングポイントであったと思えるように、将来に向けて種をまいていく所存です。
さらに、20年前の残念な出来事により歯科界では日歯と日歯連盟のトップは別人が務め、中医協委員も一名になっています。現在、月に一度、日歯と日歯連盟の合同会議を開催し緊密に連携を取っていますが、日本医師会や日本薬剤師会のように、日歯と日歯連盟の会長の兼任についての検討を進めていきたいと考えております。中医協委員についても本来の姿である二名に戻すべく尽力していきます。
このような歯科界に山積する課題に向かう時、政治的アプローチが必要であることに疑いの余地はなく、昨年末の評議員会において第27回参議院比例代表選挙の組織代表候補者に決定した比嘉奈津美参議院議員への政策も慎重に吟味しなければなりません。そのため、本年も山田宏参議院議員と共に全国各地でデンタルミーティングを開催したいと考えております。我々執行部も歯科界の発展のため全力で努めてまいりますので皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

結びにあたり、本年が会員の皆様やご家族にとって幸多く、そして歯科界にとって実り多い年であることを祈念し年頭のご挨拶といたします。

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